Introduction
――大正十二年 五月十二日。 実業家・御影零治(みかげれいじ)は京都の貧しい農家から成り上がり、日本有数の企業「御影製鉄業(みかげせいてつしょ)」を築き上げた男だ。 成功者として名を馳せる一方、最愛の妻・千代(ちよ)を病で失って以来、その冷酷な支配は家族にまで及んでいた。 そんな零治の三人の息子、一哉(かずや)、二典(つぐのり)、三輝(みつき)は、亡き母に似た美しい容姿と気品から、地元で「御影の三兄弟」として噂される存在だった。 華やかな彼らの存在は御影家の名声をさらに高めていた。 ある夜、御影家を揺るがす大事件が起こる。 零治が最も愛し、大切にしていたダイヤモンド「女神の微笑み」が姿を消したのだ。 「犯人は誰だ! 今すぐ私の宝石を返せ!」 零治の怒声が響き渡る。 果たしてダイヤモンド「女神の微笑み」を盗んだのは誰なのか? 欲望、嫉妬、裏切りが交わる中、御影家の運命は大きく動き出す。
Character
【実業家】御影 零治
みかげ れいじ
男性/58歳/御影家の当主 京都の貧しい農家から成り上がった成功者。明治時代の産業化の波に乗り、日本有数の企業である「御影製鉄所(みかげせいてつじょ)」を築いた。 最愛の妻「千代」が病死して以来、冷酷な一面が目立つようになった。 ダイヤモンド「女神の微笑み」に異常な執着を見せる。
【軍人】御影 一哉
みかげ かずや
男性/28歳/御影家の長男 父の期待を一身に受けて育てられ、軍での地位を築いた優秀な人物。 軍人として厳しい一面もあるが、弟達に対する愛情は本物。その愛情は腹違いの弟である五条にも及んでおり、恵まれない生い立ちの彼にも御影家の財産を分けてやりたいと考えている。
【文学作家】御影 二典
みかげ つぐのり
男性/20歳/御影家の次男 文学への情熱が強く、御影家の財産や家督(かとく)にはあまり興味がない。病弱で非常に痩せた体格をしている。兄の一哉が軍人として成功したため、父・零治から事業の後継者に指名されているが、自身はそれを嫌がっている。読書家で文章から様々な情報を読み解く力がある。
【神学生】御影 三輝
みかげ みつき
男性/15歳/御影家の三男 温厚で誠実、信仰心が強いが、内には激しい葛藤を抱える。 母の死をきっかけにキリスト教に傾倒し、信仰の中に「愛」を見出そうとしている。次男の二典に懐いている。父への反感と信仰の教えの間で揺れ動く繊細な少年。
【元芸者】鈴木 四津
すずき しづ
女性/42歳/零治の愛人 零治の亡き妻・千代に似た面影をもつ元芸者。零治に芸者を辞めさせられ、現在は御影家の離れに囲われて暮らしているが、正式に籍を入れてもらえないことに不満を抱いている。家族は高齢の母だけで、零治の子を身ごもったと周囲に吹聴(ふいちょう)しているものの、その真偽は不明である。
【使用人】戸川 五条
とがわ ごじょう
男性/26歳/御影家の使用人 御影零治と遊女である妾(めかけ)の間に生まれた非嫡出子(ひちゃくしゅつし※正式に認められていない子供)。母は出産時に他界し、幼少期から御影家で使用人として働き続けている。実父である零治には反感を抱いているが、一哉には強い敬愛の念を持っている。
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