あらすじ
高尾イッセイ、本郷アン、星野コータロー、江差リョウの四人の共通点はふたつ。 ひとつは劇団「プラフォ」のファンであること。 もうひとつは2019年5月公演の同じ回を観劇し、劇場を出た直後に予報外れの土砂降りに見舞われて同じバス停で雨宿りをしたこと。 これまでそれぞれひとりで観劇を楽しんできた4人だが、ときどき観劇日を合わせ、終演後に喫茶店で感想をシェアする仲になっていた。 劇場付近の喫茶店「ピノキオ」がいつもの4人の待ち合わせ場所。 今年、2020年5月の公演「その探偵の名、」も、もちろん日程を合わせて観劇する予定だった4人だが、劇団は新型コロナウイルス感染拡大防止のために5〜7月すべての公演延期・中止を発表。 それに伴い300万円の借金を抱えてしまった。 クラウドファンディングサイトが開かれ、4人は想い想いの金額を支援したが、あと30万円足りない270万円で数字はピタリと止まってしまう。 今日はクラウドファンディング最終日。 あと30分でクラファンは終了。 4人はZOOMに集まり、達成を祈りながら一緒にクラファンの行方を見守ることにした。 そして24時、クラファン終了! 更新ボタンを押すと、一人の支援者が30万円を支援し、クラウドファンディングは目標額を達成していた。 支援者のハンドルネームは「ピノキオ」。 つまりこの中の誰かが、30万円を支援した!? 一体誰だ!? 素敵な奴め! しかし、誰も名乗り出ない。 4人は自分たちの中に隠れた粋な「英雄」を褒めるべく、探し出すことを決意した。
キャラクター
高尾イッセイ
たかお いっせい
34歳。会社員。YOUTUBEの人狼実況配信をきっかけにプラフォを知る。劇場に足を運ぶようになってから5年くらい。しっかり者で優しい性格だが、秘密主義なところも。好きな食べ物は焼き鳥のぼんじり。
本郷アン
ほんごう あん
22歳。大学四年生。役者を目指す女の子。プラフォの開催する即興演劇学生リーグに出場したことがある。いいお家のお嬢さんで、おっとりした性格。感情をあらわにすることはあまりない。すきな食べ物はあんず飴。
星野コータロー
ほしの こうたろう
29歳。マーダーミステリーが趣味。「その探偵の名、」というみくみんの書いたマーダーミステリーをプレイしたことがきっかけで、プラフォの公演やライブに足を運ぶようになった。新しいものがすきで好奇心旺盛。好きな食べ物はカレーとラーメン。
江差リョウ
えさし りょう
32歳。会社員。もともと親友に誘われて付き合いで劇場に足を運ぶようになったが、彼女が結婚し夫の転勤で四国へ行ってしまってからもひとりで観劇を続けていた。世話好きで感情表現豊か。好きな食べ物はあげもち。
制作者のコメント
この物語は昨年、コロナ禍での劇団存続をかけて行われたクラウドファンディングをモデルとしています。 殺人なし、憎しみなしの心温まる作品です。 作中に登場する「劇団プラフォ」は「インプロカンパニーPlatform」という実在の劇団をモデルにしており、登場する役者たちも実在します。※ この作品を通して、日本で流行りはじめた「即興劇」の世界も知っていただけたら嬉しいです。 ※2020年5月の劇団メンバーをモデルにしています。