Scarlet sage -サルビア-
ユキ
「……って言うんですか?!」
女の子の怒鳴り声で意識が覚醒する。目を開けると、白い天井があった。
「ヒカリ!目が覚めたんだな、よかった…。」
男の子の声が聞こえそちらに目をやると、警察官のような中年の男性と、高校生位の男女がいた。
中年の男性は本当に警察官らしく、警察手帳を私に見せながら簡単に自己紹介を済ませると神妙な面持ちで続ける。
「目覚めたばかりで申し訳ない。…ヒカリさん、貴方のお父様が昨晩何者かによって殺害されました。その件で少々お話を伺いたいのですが。」
…ひかりさん。私を見てそう呼びかけている。…父親が、殺された?
ぼんやりしていた頭が徐々にはっきりしてくるとともに、自分の異変に気付く。
「……記憶が、ありません。」
「なんですって。」
困惑する警察官と、目を見開く女の子と男の子。女の子は今にも泣きだしそうな顔になり、男の子は何かに対する怒りをこらえるような顔で拳を握りしめていた。
はたして、事件の真相にたどり着くことは出来るのだろうか。