マアナ、ネイ、オーツィ。 3人の少女は、保護者であるグラントと、機械ネコのカボと共に幸せに暮らしていた。 彼女らが暮らすその家は谷の上にあり、家の庭園にある崖からは谷の底をのぞくことができた。 季節が秋から冬に移ろう頃。 ある朝、悲劇は起こる。 グラントが庭園の崖の縁で拳銃に撃たれ、谷底に落下していったのだ。 現場にいたのは、3人の少女。 この中の誰が犯人なのか。 その結論を求めて、3人は議論をすることとなる。 降り積もる小さな違和感は、彼女たちの「能力」がゆえか、それとも……。

オランダのとある地方都市。 そこに住む大富豪フーゴの元に、ある日、“渦巻怪盗団”を名乗る怪盗からの予告状が届けられた。 「次の満月が天に昇る夜、貴公の所有する宝冠を頂きに参上する。あの宝冠は、砕かれてこそ真に輝きを得るのだ」 満月の夜はすぐにやってきた。 その日はフーゴ自身が、4人の警備員とともに、彼の持つ最も貴重な宝「金剛石の宝冠」の警護に当たった。 張り詰めた空気の中、突如として部屋の明かりの一切が消え失せる。 そして。 わずか40秒後、部屋に光が戻った時、警備員の1人が遺体となっていた……。

　時は元禄（げんろく）、綱吉の治世。 　とある山中の寒村で、一つの遺体が見つかった。 　遺体の状況は酸鼻（さんび）を極めた。胸から腹にかけての肉が、鋸（のこぎり）によって執拗（しつよう）に破壊されていたのである。 　誰かが言った。 「〈鋸鬼（のこぎりおに）〉が来たんじゃ……。おお、きっと〈鋸鬼〉の仕業じゃ……」 　降りしきる白雨（はくう）に閉ざされた村で、それぞれの思惑は交錯する。